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列車に乗った男 [DVD]

列車に乗った男 [DVD]

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列車に乗った男 [DVD]の解説

   愛の奥深さや人生の本質を、一風変わったストーリーで追求するパトリス・ルコント監督。その個性が最大限に発揮された秀作。銀行強盗を目論んだ中年男が、列車に乗って小さな町の駅に降り立つ。泊まる場所に困った彼は、元教授がひとりで暮らす屋敷に身を寄せる。男の計画を知った元教授は、その決行日が自分の手術と同じ日であると知り、ふたりには奇妙な友情を育まれる。
   オープニングの列車のシーンから、強盗を演じるジョニー・アリディの複雑な表情に引き込まれる。そしてジャン・ロシュフォールが、死への恐怖と、退屈な日々を生きる恐怖の両方に怯えつつ、その感情を抑えようとする老教授をしみじみと演じる。ふたりの名演で、パンを買いに行くだけのエピソードにも、さまざまな人生の局面が映し出されるのだ。やがて、ふたりに湧き起こる“相手と入れ替わりたい”思い。その願望が導く結末は、観る者によって解釈が分かれるはずだ。それぞれの人生は未来が予測できないように、映画が語る物語も予測できない。人生と映画が重なる希有な瞬間が、この映画には存在する。(斉藤博昭)

列車に乗った男 [DVD]の商品レビュー

4.0 ラストがいまひとつ・・
ルコントの作品を観たのは『髪結いの亭主』と『仕立て屋の恋』に続き、これが三作目です。
おっさんのいやらしい視線を徹底していやらしく見せるのが得意な監督のようですが、
今回はがらりと風合いが変わっています。
この乾いた男の世界をどうするのかと思えば、ルコントらしさはジャン・ロシュフォールの饒舌に残しつつ、
アウトローで寡黙といった要素も外見も十分、とにかくジョニー・アリディが渋いです。
ジャン・ロシュフォールは『髪結い〜』の好演に続き、場がやわらぐ優しい雰囲気が素敵すぎます。

ひとつ残念なのは、ロマンティシズムとエロティシズムのあふれる『髪結い〜』や『仕立て屋の恋』よりも
断然素晴らしい物語なのに、ラストの二人が入れ替わるシーンがやけに浮き立って見えるところでしょうか。
あそこまでわかり易くしなくてもよかったんじゃないのかな、と思いました。
4.0 ルコントの解放感と哀切と
頭痛さえ詩的な絵に映し出すルコントマジック。パスカル・エステーヴのドライでウエットなサウンドが効果的。アリディの革ジャンの光沢、冷たい曇り空の下の鉄路、青白い憂鬱な夕方のシャッターが落ちる音。男のひどい頭痛がキーンと感じられる。
ロシュフォールが登場する瞬間、空気が暖かく柔らかくなる。この名優はいるだけで面白い。彼が薬局でアリディを見るほんの1秒で、最初で最後の友情が始まる。「発泡錠を渡しやがった」「水が要るね」
余計な自己紹介も詮索もなし。正反対の相手に「理想の男」を見る。ルコントは濃密な「ペア」を描くのがうまい。橋の上の娘や親密すぎる打ち明け話もそうだった。セリフがいちいち素晴らしい。音楽、絵画、文学についての芸術的センスにルコント独自の鋭い視点が光る。何でも知っていて語れるのが真のアーティストだ。「私は弱者の味方のシューマン派」「狂気から離れて基本に返った。だからルーブルは無理」「真実ばかり書いてある。それこそ悪書」「星空を見て自分の小ささを感じるなんてむかつくよ」勿論、下ネタやブラックジョークもぽんぽん飛び出して笑わせる。要は常に'humanite'.
この解放感。我思うゆえに我ありの哲学の国は人生に真摯だ。死に対しても。ラストは切ないが(シューベルトのピアノ曲がいい)自由な風が吹き抜ける爽やかさがある。(邦題は愚訳。ルコントが泣くよ)日本ではこういう映画は作れない。老人と中年男の出会いは「お名前は?」「お幾つで?」「ご出身は?」から始まり核心を避けた「ふれあい」で終わるだろう、たぶん。やだやだ。Avec ceci?
4.0 淡々としているが判りにくくはない
交錯シーンからラストまでは、あえて解釈の余地を残したことが判り易く伝わってくる。
表題、そして冒頭の列車のシーン、対比されるラストの列車のシーン、これも判り易い。
判り易いがために、逆に、フランス映画、ルコント映画の底の浅さを感じてしまった(ファンの人すみません)。

ただ、不思議とつまらない映画ではなかった。スローなようでそれなりに起伏があるのかリズムがいいのか、
退屈することなく、惹き込まれるようにして観ることができた。

主役の二人の演技が良かったのと、不要な会話が省略されていたためかもしれない。

どうでもいいけど、地方のcreditは信用金庫と訳するのか、なるほど、と思った。
5.0 理想と現実
自分が生きた人生と、生きたかった人生は違う。
冒頭の列車の音が今この瞬間に続いている過去の人生を象徴的に響かせて始まる2人の男の出会いは、お互いに生きたかった人生を生きている男との出会いで、2人は人生を交換したいと望むようになる。
だけど、2人がそれぞれ今立って走っているレールは、自分の過去が作ったもので相手に丸投げしてしまうわけにもいかない。だから2人は自分の人生を全うする決意をする。けど、2人は同時に立ってしまった死の淵で、今の人生を歩みきることよりも大事な本当の望みが何なのかを実感する。そして列車が走っていく音が、2人が乗り換えた新しいレールの行く末を詩情をまとってほのめかす。
人生を鉄道に、出会いを駅に、新しい人生を乗り換えにたとえて詩情豊かに描いた傑作。ギターの繊細な音が2人の揺れる心を直接僕らの心に伝えてくれるのは見事としか言いようのない演出。パトリス・ルコントの懐の深さを垣間見れる作品。
5.0 鼓動が止まるとき思う相手は
男が二人。
一人は金持ちの老紳士、もう一人はチンピラ。
二人はそれぞれどこか社会からずれており、であったとき、己が憧れているものを相手に見出し、惹かれあう。
極めて個人的な領域にある二人の関係は、とても静かで、どこか滑稽で哀しい。

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