幻想と怪奇の映像美「悪魔の背骨」
時代は1930年代後半のスペイン内戦期。共和派の親を失った少年カルロスは人里離れた孤児院に預けられる。院内の仲間たちから執拗な苛めに遭うカルロス。彼はやがてこの孤児院の出身者である青年フアシント(エドゥアルド・ノリエガ)とのっぴきならない対峙の時を迎えることになる…。 外部の人が訪れることなどめったにない大平原のはずれの孤児院。その庭先には大型の不発弾が突き刺さっている。夜な夜な聞こえてくるのは姿なき少年霊の溜息。初老の女性院長と青年フアシントとの間にはある秘め事が存在し、そしてカサレス医師は胎児の遺骸を瓶詰めにして収集している。
この世のものとは思われぬこうした怪異な設定要素が重なり合って、同胞同士が血で血を洗うという苛烈でささくれ立ったスペイン内戦期の閉塞した空気を見事に映像化しています。どうにもやりきれないスペイン現代史の悲劇を、こうした幻想と怪奇の物語として息苦しいまでに表現した製作陣の才能には、大いにうならされます。
監督はメキシコ出身のギジェルモ・トロ。この映画でカサレス医師を演じているアルゼンチンの俳優フェデリコ・ルッピと組んで「クロノス」という、これまた幻想と耽美の色合いの濃い怪奇映画をかつて撮ったことがあります。
この「デビルズ・バックボーン」は長らく日本公開の噂が流れるばかりで、それが実現することなく待機していた作品でした。今年2004年にようやく一般公開され、間もなくDVDも出されるということです。スペイン語圏から様々なジャンルの優れた映画が日本にやってくることを私はとても喜んでいます。