フォーン・ブース
ニューヨーク。街角の電話ボックスのベルが鳴る。近くの男が受話器を取ると親しげに話しかける相手の声。悪質ないたずらと切ろうとするが、何処からともなく狙撃され、男は電話ボックスから出ることも電話を切ることも叶わない。電話線の向こうから、男の嘘も秘密も全て暴き立て、保身も反撃もことごとく封じる正体不明の声。衆人環視の中で不様に追いつめられていく男。電話ボックスが透明な地獄と化す「フォーンブース」。シチュエーション設定の面白さで見せるアイディアの一発勝負には、アイディア倒れになりかねない危険性もあるが、この作品は話のスケールと仕掛けがコンパクトでバランス良くまとまり、テンポと切れのある演出に緊迫感も無理なく盛り上げてくれる。主人公が射殺犯と誤解されるサスペンスを引っ張りすぎて、ニューヨーク市警の鑑識能力からは不自然に思える長さに感じさせるのはマイナスだが、限定された空間に辛口な人間描写を畳み込む展開は、一幕物の芝居に適度な緊張と一層の陰影を添えてあきさせない。
昔、二番館三番館で良くできたB級映画に遭遇する楽しさがあった。時には無上の喜びを感じる出会いもあった。その二番館三番館も今やDVDに取って変わられ、映画を取り巻く環境も激変したが、「フォーンブース」には二番館三番館でよくできたB級作品を発見した時の楽しさを思い出させるノリがある。携帯に駆逐されつつある電話ボックスを舞台に先端の風俗を描きながら、消えてゆくものへの鎮魂も漂わせるなど面白さの密度が高いのだ。
普通に面白い
この映画は劇場ではヒットしなかったらしいが、個人的には好きだった。この映画はあまり長くはないのだけれども、内容からして丁度いい長さだったといえる。
緊迫感があり、人間誰もが持っていそうな面が見えてくる作品。
最後の最後まで目が離せない映画である。