惜しい!もうちょっとなんだけど
タイトルのRebornとは「生まれ変わる」という意味…というより「生まれ直す」といった方がいいようだが。アルバム全体は、正に今流行のスタイルを取り入れつつ、少し懐かしさも醸し出すといった趣向か。一曲目のシングル[Get right]は曲全体に、Maceo & The Macksの[Soul power '74](ジェームズ・ブラウン作曲)からのサックスのフレーズをサンプルループして使い、リズムは重め・遅めのハウスグルーブ。僕はこういうリズム、嫌いじゃない。曲最後に流れる子供の声は誰なんだろう…?もしかしてJLOの子供?
2曲目の[Step in my world]は今一番流行しているスタイルの、ちょっと中近東風味のスローグルーブ。この手のはちょっと聞き飽きた感がある。皆やりすぎだ、ビヨンセ、アシャンティ、ミリアン等‥。この手のチャントもの(曲中繰り返される呪文のようなフレーズ)は、本家のオフラ・ハザなどを聞くとかなりぶっ飛ぶ。
3曲目の[Hold you down]、これは反則でしょー、僕が大好きなシャーリー・マードック(最高!)の名曲[As we lay]のおいしいところだけをサンプルするなんて…別にサンプルするのが悪いとは言わないけど、これなどは単に良いアレンジが思いつかなかったように感じてしまう。一応Fat Joeとの共演であることを付け加える。4曲目[Whatever you wanna do]もナイトライターズの[Con-Funk-Shun]をバックトラックに使っている。
5曲目[Cherry pie](個人的にはアルバム中一番印象に残った)や6曲目[I got you]、7曲目[Still around](ちょっとヴァネッサ・ウィリアムスに通じる)等は悪くない。後の8,9,10曲目はいずれも退屈。
少し異色なのが最後の11曲目[(Can't believe) It's me]だ。彼女にしては珍しいハードロックタイプのバラードだ。完全にバックに呑まれてしまっているが、今後バラードをやるときはこの手法が有効なのではないか。以前から思っていたのだが、彼女のバラードはいつも「雰囲気」だけで、感情的に揺さぶるものがない。時々ジャネット・ジャクソンと聞き間違えることすらあるくらいだ。もし自分のスタイルを作りたいなら、人とは違うことをすべきで、JLOも結構いい歳なのだから、その辺をもう少し考えてもいいのではないかと思う。
本アルバムを聴きながら、彼女が目指したいタイプのエンターテイナー(シンガーではない)の究極の形は誰なんだろうと思ってしまった。マドンナのようなパイオニアなのか、それともジャネットのようなヘタウマなのか(これはこれで楽しませるが)、セリーヌ・ディオンのような職人なのか…結局どれも決心が付かず、映画などに出て中途半端に「マルチタレント」に納まるのだろうか?一応全米のニューヨリカン文化が誇る歌姫なのだから、CDセールスに惑わされず、それの名にふさわしい活動をして欲しいような気がする。
