暗黒ロックの逆襲
JUDEとしての活動が『ZHIVAGO』でピークを迎え
『Silvester&Johnny K』でトドメを刺したと思っていたら
ベンジーの新譜はSHERBETSだった。リリースと同時に買ったけど
「05.Baby Revolution」が『ZHIVAGO』へ入れそびれたんじゃなくて
正真正銘『natural』の収録曲だと納得できるまで2か月もかかってしまった。
この世界のクソッタレな現状に対して
いままで嘆いたり異議を唱えたナンバーは何曲も放ってきたベンジーが
今回「05.Baby Revolution」で初めて解決策を提示したんだ。
これが実にキュートなアイデアなんだよな。
赤ん坊革命。その光景を思い浮かべるだけで顔がほころんでしまうぜ。
「PUNKY BAD HIP」で新しい国ができたとベンジーが歌ったことは覚えているかい?
あの国には「不良の森」が横たわっていることは知ってるよね。
今回のアルバムではあの国の新しい光景が語られているんだ。
物思いに耽っているようで実は何も考えていないフクロウがいる。
彼女とジュースを飲んで過ごす昼下がりの気だるい時間が過ぎている。
世界中のパンフレットが手に入るトラベルセンターがある。
指で「中華そば」と文字を書いた砂浜がある。
幻の天使たちがいる幻の教会がある。
並木道から見えるショーウィンドーの中でサルがシンバルを叩いている。
アルバム全体が深い哀しみと美しさを湛えた大きな1曲のように聞こえる。
それはデイヴィッド・リンチが描いてみせた『ツイン・ピークス』の
新しいサウンドトラックのようでもある。
考えてはダメだ。ジャケットのフクロウの目を凝視しよう。
催眠術をかけられてベンジーが歌うイマジネーションの世界を旅しよう。
わらのバッグを腕にさげて。この空にすべてをまかせて。
目を閉じて耳をすませばベンジーの今この瞬間のSEKILALAが聞こえてくるはずだ。
深い深い海の光
発売されてから毎日、深夜にひとりで聴いている。もう全曲歌えるようになりました。レヴューのタイトルは1曲目「フクロウ」の歌詞なのですが、このアルバムはまさしくそんな感じ。
ベンジーと福士さんの声や、仲田さんのベースもまさに「深い海の光」、「フクロウ」のように優しい存在感。
このアルバムを聴いてから寝ると、ほんとうに安心して眠りにつける、素晴らしい明日がやってくる、そんなふうに思える清らかな絶対の名盤です。