レトロなソウル傑作アルバム
KANYE WESTがエグゼクティブ・プロデューサーに迎えられた今作は、KANYE渾身のサンプリング集でもある。力の入れ方で言えば最近NEPTUNESがSNOOP DOGGに力を入れたことに近いのかもしれないが、こういう傾向はプロデューサーを本気にさせ、絶品を作り上げるから好ましい。
今回は11曲、とボリュームはコンパクトにまとまっているが、大半をKANYE WESTが手がけ、残りを最近ではマライア・キャリー、昔からエリカ・バドゥなどを手がけている長年のよしみでジェイムズ・ポイザーが参加KANYEは相変わらずレトロなバックグラウンドを提供し、時には高速回転させ、常にシンガーの歌声が何かしら聞こえてくるため、ラップアルバムであるというよりは、むしろソウルアルバムにラッパーがフィーチャーされているのかと思ってしまうくらいだ。それだけ、ラップを普段聞かないユーザーにも十分通用するほど万人向けに作られているにも関わらず、疎かではなく作りの細かい職人技が光っている。
新しいKANYEのアプローチとして4曲目が印象的だったのだが、いつもどおり高速回転させたソウルシンガーの声を、テディ・ライリーのボコーダーのような加工で機械を通し、それをあたかもエレキギターがシンセサイザーのような扱いでラップ中に響き渡る。それがフックに移ると急に普通の早回しボーカルに戻るという離れ業が凄まじい。
KANYEのサンプル技術のいついにネクストレベルへ到達したかのようだ。そんな軌跡が垣間見える傑作ソウルラップアルバム。