変わらない症例を巧みに演じたホフマン
待った甲斐があった。必ずやアルティメットかスペシャル版が出ると確信していた。dts音声は心から嬉しい。お気に入りの映画がdts音声だったりリマスターされていたりすれば,宝物への愛着もさらに増す。
さて,特典ディスクの中で,この型の自閉症は変化するようではいけないと語られていた。対してクルーズ演じるチャーリーの場合,兄レイモンドと旅する数日間で大きく内面が変化する。クルーズは変化,ホフマンは不変(の中の微妙な変化)を巧みに演じた。
演技云々を言うならば,主役二人とも本当に素晴らしい。列車で病院へ戻る兄を見送るチャーリーのサングラス越しの表情,チャーリーを「メインマン」と認め,「Kマートの服は最低」と言い放った兄レイモンドのさり気ない変化。 アルティメット版の乱発は困るが(最初から最高品質を目指して欲しい点で),本作のようなマスターピースの場合,永久保存版として大歓迎だ。
演技を超えた素晴らしさ
自閉症児の親ですが、俳優といえども「自閉症」を演じることは
決して易しいことではありません。
こちらを実際に購入し、特典ディスクをご覧になれば並大抵の
ことでは完成しなかった作品であることもおわかりになるでしょう。どんな演技でも、身近に自閉症者を知っている人にとっては
嘘っぽい、作り事のように感じてしまいがちですが、この映画の
彼の演技は、まさに真に迫るものです。
構成としてもストーリーとしても非の打ち所のない一度は観て
損をしない映画ではないでしょうか。
むしろ、トム・クルーズの演技に注目!
ホフマンの演技はたしかにリアルで高い評価も得ました。
しかし自閉症の人を演じることは役者ならそれほど難し
い事ではないでしょう。ホフマンの演技力をもってすれ
ばかなり楽な仕事だったのではとさえ思ってしまう。この作品はむしろトム・クルーズの抑えた演技が光って
いて、よーく観てほしいところです。
自閉症の兄と接しているうちに利用している自分を自戒
する気持ち兄に対する愛情に芽生え、自己をも取り戻す。
そうした内面が変化してゆく過程をぐっと抑えた演技で
表現しきったトムの技量はお見事です。
自閉症の弟トム、その兄ホフマンに設定を置き換え二人
の演技を想像するとこれほど感動できる作品にはならな
かったでしょう。
キャスティングが見事にはまり、かつトムがしっかり応
えてホフマンをひきたてたからこそ成功した作品です。