桜結び
水月のメインスタッフによる新作ですが、値段が低めに抑えられた点からも察しられる様に、CGの質(原画ではない)や、システム面、そしてシナリオの凝りようなど、残念ながらグレードダウンしている感は拭えません。水月から3年ぶりとはいえ、満を持しての新作とは言い難いように思います。また、システム面で、オートモードなしに加え、1クリック-1行表示が最大であり、水月のような1クリック-1ページ表示ができなくなったのは痛いですね。
ここはテキスト量が膨大なだけに、もう少し配慮が欲しかったように思います。
逆に、選択肢などは選べられないものの、パッドにある程度対応していて、1ボタンでテキスト消去やクイックセーブ、スキップが済むのは、なかなか便利でした。
しかしながら、シナリオライターであるトノイケ氏の作品に対する姿勢は健在であると感じました。
タイトル名からキャラクター名などには、しっかりとした意味を持たせており、随所に暗喩を使用しているだけに、プレイすれば事前情報から受ける印象以上に練り込まれている事が判ると思います。
キャラクター名は水月やCanvasも同様ですが、花の名前を拝借する傾向があります。ただ拝借するだけでなく、その花にある花言葉に対する氏の解釈がシナリオとキャラクターの性格に強く反映されています。
また、水月同様、田舎を舞台にしたり、古い文献を引用する事もあって、舞台が現代でありながらも、平成以前の時代を彷彿させます。露骨な和風テイストとはまた違う、日本らしさ(?)を感じさせるものが漂っています。
水月以上の内容を期待してしまうと肩透かしを食らってしまうかも知れませんが、上記で触れたような、トノイケ氏の作風が好きな人にはお勧めしたいです。