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ヨコハマメリー [DVD]

ヨコハマメリー [DVD]

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ヨコハマメリー [DVD]の解説

   顔は白塗りで、身に付けているのはつねに白いドレス。戦後、横浜の伊勢佐木町に娼婦として立ち続け、「ハマのメリーさん」と呼ばれた女性がいた。1995年、そのメリーさんが突然、姿を消したことをきっかけに、中村高寛監督が彼女の真実を追いかけ、1本のドキュメンタリーになった。団鬼六、五大路子ら彼女にゆかりのある有名人や、服を預かっていたというクリーニング店の店主らの証言を織り込み、メリーさんをとらえたモノクロ写真とともに、その素顔を浮かび上がらせる。
   街で出くわしたらギョッとするような外見のメリーさんだが、観ていくうちにどんどん親しみが湧いていく。プライドの高さ、恋人だった将校への想い。異様な外見にこだわった理由や、ビルの廊下で寝泊まりしていた事実などを、中村監督が精一杯の愛着でみつめるからだ。ひとりの人物像から、背景の時代が再現されるのも見事。メリーさんが最も親しくしていたシャンソン歌手で、末期ガンを患う永登元次郎のドラマがシンクロし、静かに終わりそうだと予感させる本作は、ラストで思わぬ急展開をみせる。その鮮やかな幕切れには、感動を超越した崇高ささえ感じさせる。(斉藤博昭)

ヨコハマメリー [DVD]の商品レビュー

5.0 どうか、偏見なく観て欲しい。陰の戦後史を生き抜いた者たちの信念と魂。
"ハマのメリーさん"には、学生時代、一度だけ遭遇した事がある。その時の彼女の印象は、劇中そのままの、あたかもアングラのパントマイマーか、酔狂な人といった風体であったのだが、その後彼女の生きてきた人生を知り、小柄で背を丸めた後姿を思い出す度に、哀感さと歴史を作った神話性を感じたものだった。今作は、消息を絶って10余年、メリーと呼ばれる“伝説の女性”を知る人々が、回顧的に語るその思い出を通じて、その特異なキャラクターと生き様に、ある意味慈しみと凛とした毅然さを抱かせつつ、今や東京に次ぐ巨大都市になったヨコハマの、陰の戦後風俗史とも言える部分が照射されるという見事な構成となっている。そしてもうひとつ、末期癌に冒され、余命いくばくもない闘病生活を送りながらも、メリーの為に疾走するシャンソン歌手永渡元次郎を巡るサイド・ストーリー。GI相手の“パンパン”と、同性愛者で“男娼”。ふたりの、差別と偏見を乗り越えた信念とソウルフルな生き方にぐっと引き込まれてしまう。ラストの意表を突いた鮮やかさと感慨は、劇中何度も謳われる元次郎の「マイウェイ」と共に、いつまでも心を捉えて離さない。
映画の冒頭で出演していた3人の人物に哀悼の意が表される今作は、私にとっては、やはり横浜のドヤ街寿町を舞台にした小川紳介の「どっこい!人間節」以来のエモーショナルなドキュメンタリーであった。秀作!
5.0 ドキュメンタリーの基本をきっちりおさえた秀作です
「彼女はいったい何者なのか」この作品を見たいと思った動機がそれでした。本名は誰も知らないが、際立つ風貌と行動で「メリーさん」と呼ばれていた老女。その外見のインパクトさからは好奇、嫌悪の目にさらされる事も幾多とありますが、そんな中で色々な人々の証言を交えながら「メリーさん」の謎が解かれてゆきます。著名人はもちろんの事、商売等に携わっている人、当時、愚連隊にいた男性など「市井の人」の証言はメリーさんの人となりを垣間見た感じです。献身的にメリーさんを援助してきた故永登元次郎氏、そしてその後を追うように亡くなったメリーさん、故人となった杉山義法・広岡敬一氏の両氏、そしてメリーさん、杉山氏亡き後もメリーさんを題材にした芝居を現在も続けていらっしゃる五大路子さんを始めとする方々の証言なくしてはこの作品はできなかったでしょう。

俗に言う「不適切な表現」がある為、テレビで放映される事は皆無と言っていいでしょう。もちろん削除すれば放送はできるのでしょうが、それはこの作品を殺す事であり、証言者に対する冒涜でもあり、メリーさんへの侮辱にもなります。

一人にでも見て欲しい作品です。


2.0 もったいない
これだけいい題材を使いながら、この程度のレベルの作品では勿体ない。

無駄に時間を稼ごうとしてるのがみえみえだし、後半はオカマ野郎が
メリーさんの事じゃなくて自分の事ばかり話しててつまらない。
っていうか、オカマ野郎が出すぎなのが嫌だ。

もっと横浜の街の人の話が多くて、時間も短ければもっと面白くなったのに。
残念。
5.0 馬車道のメリーさん
馬車道・アート宝飾(今はスタバになっている)のはす向かいに、横浜東宝会館があった。そこも今はマンションだが、1970〜80年代の東宝封切り館はここと横浜西口の相鉄ムービルしかなかったため、足しげく通っていた。関内駅から歩いていくのだが、一度だけ(もっとあったかもしれないが覚えているのは1回)アート宝飾前のベンチでメリーさんを見たことがある。ちょっと異様な感じだったので遠巻きにして逃げた。でも、本作を観てその生き様を知ると、あのハマの伝説にちょっとは触れられた気がして、感慨深い。伊勢佐木町と馬車道は一本につながる一大繁華街だが、ふたつの街の生い立ちは違う。開港当時の居留外国人の要請で作られた馬車道と、埋立地(吉田新田)に遊郭の付随として作られた伊勢佐木町。メリーさんはこのふたつの世界を行き来する。メリーさんの主戦場はやはり伊勢佐木町。この街は未だに「明」と「暗」の落差が大きい。本作に登場する根岸屋もGMビルも大岡川もその「暗」の代表格だ。住民登録のないメリーさんは、日々白塗りにした風体で周辺を徘徊する。しかし1995年にハマから姿を消す。我々は中村監督と一緒になってメリーさんの消息を追っていく。そしてあっと驚くラストシーンへと繋がる構成力は見事である。メリーさんも今は亡く、好きな場所だった松坂屋(ハマっ子には野澤屋)も近く取り壊される。横浜の50年を映像や写真で保存してあるだけでも本作には価値がある。横浜人は特に必見のドキュメンタリーである。
5.0 個人的にはリアルな実感
ヨコハマを語るうえで必ず話題にのぼるのが「メリーさん」。ヨコハマに馴染みのない人やヨコハマ以外に住んでいる人にとっては、好奇心半分、一種のぞき見的楽しさ半分の意味合いから「都市伝説」というカテゴリーで語られているようです。でも、年代的には40代以上のヨコハマ地元民にとっては、彼女の存在は大変リアルな存在で、一度は遭遇した経験があるはずです。個人的には伊勢佐木モールで数回ほど「メリーさん」を目撃しましたが、プライドと気概に満ちた凛とした佇まいから、ただならぬオーラを感じました。周りの人も彼女の存在や人となりを理解したうえで、尊敬とまではいかなくても、激動の人生に対してある種の畏敬の念を抱いていたように思います。

映画化にあたって真っ先に思ったのが、どうか「好奇心」や「偏見」だけを切り口にしてほしくないという一点でした。「都市伝説」などというわかったようで実は意味不明なキーワードで括られることにはやはり抵抗感があります。しかし、本作品を見て、それはまったくの杞憂に終わりました。証言者によって淡々と語られる彼女とその周辺からの描写の裏側から、敗戦直後の日本の状況、ヨコハマが抱えていた特殊な状況、ヨコハマの「明」を担う伊勢佐木と「暗」を受け持つ日本3大ドヤ街のひとつ「寿町」と娼婦の町「黄金町」などとの対比が、鮮やかに浮かび上がってきます。日本のドキュメンタリー映画はなかなかヒットしないと聞きましたが、セールス面はともかく、内容的には秀逸の出来栄えだと思います。

2009年はヨコハマ開港150周年。当時は政治的に、対外的に“無理やり”開港したと聞きます。それでもさまざまな軋轢をはねのけて突貫工事で開港したヨコハマは、大きな恩恵を受ける一方で、さまざまな「負の影」も背負ってしまった気がします。その負の部分は、注意深くヨコハマを観察すると平成の時代でもさまざまな場面で実感されます。そうした歴史的な因果を意識しながら、なぜ彼女がそのような生き方しか選択できなかったと考えると、さらに理解が深まると思います。

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