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ゆれる [DVD]

ゆれる [DVD]

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ゆれる [DVD]の解説

   オダギリジョーが演じる弟の猛は、故郷を離れ、東京でカメラマンとして成功。一方、香川照之の兄・稔は実家のガソリンスタンドを継いでいる。母の一周忌に帰った猛だが、稔、幼なじみの智恵子と出かけた渓谷で、智恵子が吊り橋から転落死してしまう。殺人容疑をかけられた兄と、彼の無実を信じる弟の関係が、ときにスリリングに、ときに不可解に、さらに衝撃と感動を行き来し、タイトルが示すように“ゆれながら”展開する骨太なドラマだ。
   都会に出た者と、田舎に残る者。性格も違う兄と弟。映画は対照的な立場を鮮やかに描きだす。西川美和監督は、微妙なセリフで男ふたりの複雑な内面を表現し、観る者のイマジネーションをかき立てまくる。背中の演技で心情を伝える香川照之もすばらしいが、兄に対する負い目と苛立ちの両方をみせるオダギリジョーは、彼のキャリアのなかで最高の演技と言っていいだろう。あのとき吊り橋で、何が起こったのか? その真実も含め、さまざまな余韻を残すラストシーンは目に焼き付いて離れない。兄弟を持つ人ならば多かれ少なかれ、ここに描かれる確執に共感してしまうはず。家族の関係も、そして人生も、一筋縄ではいかないのだと教えてくれる名編だ。(斉藤博昭)

ゆれる [DVD]の商品レビュー

4.0 やっかいで単純で愚かな兄弟ゲンカ
兄弟ゲンカ
そんな風に言ったら不謹慎なほど大きな過ちを犯した兄弟と女の物語

しかし所詮その程度だと言うことをこの監督は最後まで忘れず絶妙なバランスでこの作品を描ききった

役者陣で秀逸だったのは真木ようこ
彼女だけはそれが真木ようこだとわからなくなるくらい生々しく物語の中で生きていた

4.0 事実の所在、そしてセンチメンタリズムについて
ここまで多くのレビューが語ってくれているように、『ゆれる』が突出した作品であることは間違いないし、これだけの脚本を(二年をかけて!)つくりあげた西川監督の才能と根気には恐れ入る。その上で、あえていくつかの論点を提示してみる。

★「事実」にたいする態度

陽が撥ねる渓谷にまぎれ、蜃気楼のように浮いては消える「事実」の問題は、映画好きならば誰しも『羅生門』を連想させる。だが『羅生門』との決定的な違いは、『ゆれる』に揺れ動く事実の所在は、ある程度浮き彫りにされ鑑賞者の手に入ることだと思う。それは、後半の場面、弟が過去の映像に触発され掘り起こしてくる記憶が、兄の手首に刻まれた引っ掻き傷として裏付けられているところにある。小説における「信頼のおけない語り手」とは違い、この映画でのカメラ・アイには信頼性が置かれており、法廷において垣間見せる兄の手首の傷は、さまざまに推測される事実の群れにあって、弟が最後に回想する事実こそ「真実」であることを(親切にも)鑑賞者に教えてくれる。この点において『ゆれる』という作品は、事実を曖昧なまま放っておかず、最後には確かな視角情報として藪のなかから取り出していると言ってよい。この、意地悪な言い方をすれば推理小説的な座りごこちの良さは、『ゆれる』を考えるときの大切な視座になると思う。

ちなみにわたし自身は、西川監督は脚本制作の過程で『羅生門』流の哲学的主題をあえて捨て、代わってこまやかな心情描写に徹することに決めたのだと、勝手に憶測している(笑)。そして、その決断は作品にとって良い方向に働いていると思う。


★垣間見えるセンチメンタリズム

笑いの要素もちりばめられた『ゆれる』にあってもっとも感情的な色彩が濃いのは、後半の、弟が少年時代の映像をひとり観る場面だ。七年を経て浮かび上がった真実の所在から派生してくる感情の爆発は、たしかに精緻に描かれていると思う。だが、その根っこにある兄への家族的連帯の唐突さ、そしてそれを喚起するのが仲むつまじい渓谷の映像である点は、少なからぬ鑑賞者にとってお馴染みのセンチメンタリズムだったのではないか(わたしの場合は、まさか泣くんじゃねーだろな、泣くかな、泣くかなと思っていたら嗚咽をあげはじたのでちょっと冷めてしまった)。もちろん、こうしたありふれた感情の爆発は、ラスト・シーンの空恐ろしい笑顔によってうまく相殺されており、このバランスが『ゆれる』を比類ない作品にしていることも断っておきたい。

そういえば、先日NHKの番組で西川監督はこのラスト・シーンを「後味の悪い」という言葉で表現していた。その表現にのっとって、わたしもラスト・シーンの笑顔を「救い」とは正反対のベクトルにおいて解釈したい。そしてこの解釈においてこそ、過去をふりかえって弟の泣きじゃくる場面はありふれた愛の目覚めではなく、兄によって切りくだかれるべき身勝手な嗚咽となるだろう。

つまり『ゆれる』を観て、われわれは「感動」なんてしなくてもよいし、
だからこそこの作品は素晴らしいのだ。
5.0 カリフラワーズの楽曲もピッタリの奥の深い心理劇
人は思い入れや感情の違いによって同じものを見ても必ずしも同じように見えたり、記憶したりしていない。そんな人間の心理を題材にしたのがこの作品だ。
東京に出てカメラマンになって成功したが、父親に認められていない弟(オダギリジョー)と地元に残り真面目にガソリンスタンドを営む兄(香川照之)の兄弟。弟は真面目に地元で働く兄や父親に負い目を感じ、兄は自由に行動する弟をどこかでねたましく思う。そんな二人の心がある事件を通して明かになり、二人の間にひずみが入る。
兄が想う女性がゆれる橋から転落したのは事故か故意か。同じ状況を見ても心に残る映像はそのときの感情によって変わってくる。真実は何なのか最後までそれがわからず、ゆれる兄弟の心を通して話は二転三転していく。そこがこの作品の最大の魅力だろう。
観る者はオダギリジョーの視線で物語の進行を見ていくが、途中どこかで香川照之の感情に惹かれていく。それは香川の演技の素晴らしさか、監督の演出の妙なのか。どちらにしても、最近ではなかなかお目にかかることの出来ない素晴らしい心理劇。CGを多用や派手な演出が多い今の時代に人間の心理に真正面からぶつかって行くこの作品は拍手喝采もの。
重いテーマながら観終わった後にどこかほっとする感覚も味わえる作品だった。
オダギリジョーの「兄ちゃん 家に帰ろう」と叫ぶ声(弟の想いが伝わったのかはわからないが)の後に流れるカリフラワーズの「うちに帰ろう」という曲もこの作品のテーマにピッタリで最高だった。
この作品の結末をハッピーエンドと捉えるか、引裂かれた兄弟の心を描いた悲劇と捉えるかは観る者の感情に委ねられる。そんな奥の深い作品だった。


5.0 神は細部に宿る、という言葉がぴったりの作品
久しぶりにDVDで鑑賞したが、やはり傑作だとしか言いようがない。既に多くのレビュアーが的確なコメントを残しているので、今さら私が付け加えることは少ないが、まず、兄と弟、親と子、愛と憎しみ・嫉妬、東京と地方等様々な二項対立を手際よく盛り込んで様々なことを考えさせてくれる脚本が素晴らしい。特に兄と弟、東京と地方の対立は二世代にわたるものである点は秀逸だ。「藪の中」のように何が事実なのかはっきりせず、吊橋のゆれが兄と弟の感情のゆれを共振させるようなストーリー展開は何度見ても飽きない。そして撮影の見事さ。俳優を至近距離から捕らえたショット、開いた戸の隙間からわざと画面半分で捉えた食事風景等の構図の面白さ、といった具合に、西川監督の腕が冴えわたる場面は数多ある。

短いカットも、個々の登場人物の性格、心象風景や物語の伏線となっており、神は細部に宿るという言葉がぴったりの作品だ。例えば、法事の席でたたみを拭く兄・稔のズボンになお垂れ続ける酒、弟・猛の残した煙草に鼻を寄せる智恵子、山にかかる月、弟をにらむような魚の尾頭の目等が印象的だ。刑事事件の法廷ものとしても優れている。裁判員に選ばれた人には是非観てほしい映画だ。

最後に、兄・香川照之と弟・オダギリジョーの演技のぶつかり合いの迫力。両人にとって本作は代表作として長く記憶されるだろう。
5.0 二大名優の激突
いいものを見させてもらいました。

見る前に色々とレビューを見て
かなり「ドロドロ」したものを想像していたのですが、
私の感想としてはそうでは無かったです。

もちろん「重い」話ではありましたが・・・

「狭い街で実家の家業を継いだ長男」:香川照之
「父親との折り合いが悪く、家を出て、東京でカメラマンとして成功した次男」:オダギリ・ジョー

全くタイプは違えども二大名優のすごさを堪能できました。

特に香川照之の
ちょっと壊れた人間の
演技は鬼気迫る素晴らしさです。

裁判物としても良くできてる脚本で、
弁護士「蟹江敬三」、
検察「木村祐一」もかなりいい味でした。

一時の激情。奥底に眠る感情。自分でも気づかない思い。

人間の感情の複雑さを感じさせられた映画でした。

余韻のあるラストは主題歌で補完されます。

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