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サイレントの巨匠とも呼ばれるF.W.ムルナウの遺作です。 公開を待たずして自動車事故で亡くなりました。 ムルナウといえば「F.W.ムルナウ コレクション/クリティカル・エディション 吸血鬼ノスフェラートゥ 恐怖の交響曲」など、ドイツ表現主義的な作風が有名ですが、この作品はそんな影響なぞ全くうかがえない、半ばドキュメンタリー作品です。 プリントはムルナウ財団のものです。 しかし、何らかの形でレストアされたという言及はなく、93年にジュネス企画から発売されていたVHSの程度と比べてそれほど向上しているようにも感じませんでした。 ただし、VHSが本編81分だったところ、今回のDVDは82分。 検閲で削除された部分が復元されているという意味で価値があります。 個人的には、ムルナウが晩年にこれほど大胆で瑞々しい作品を取っていたこと自体が驚きでした。 誤解を恐れずに言えば、どこかエイゼンシュタインの「メキシコ万歳」の視点や、ゴーギャンの晩年の作品を思い出させる、新鮮で芳醇な映像のように思えます。 どうやら、一緒に仕事をしたロバート・フラハティーのドキュメンタリー的な方法論が強く影響しているようです。 とはいえ、同性愛者であったムルナウが、「タブウ」という題名で禁断の男女の恋を映画化するあたりが何か意味ありげな感じもしますし、自身が何か吹っ切れたような感じもします。 同封の小冊子は多角的に作品の周辺をまとめてあり、大変充実していました。 完読すると、作品の理解が深まります。 特典映像は紀伊国屋のムルナウ作品に分断されて入っているので、たった15分間しかなく単体で楽しめるようなものではないように思います